1.高校から幼稚園まで
駿台甲府中学校
開校
 平成5年4月、「駿台甲府中学校」が甲府市上今井町に開校した。駿台甲府高校今井校舎を全面的に改修して校舎とした。駿台では初めての義務教育の学校である。

 昭和55年に「駿台甲府高校」を設立した際、これを中高一貫の6年制の学校とする構想を持っていたが、認可の関係でとりあえず高校だけでスタートしたもので、同高校に接続する中学の創設は、当初からの懸案になっていた。

 このため同高校に企画室を設けて中高一貫教育の研究を重ねる一方、県当局と事前協議を重ねてきたが、当時、山梨県内には私立中学は女子中学が一校あるだけ。時期尚早ということで、なかなか進展しなかった。

 この間、昭和60年6月には臨時教育審議会が第一次答申で「生徒の個性の伸長を継続的、発展的に図ることを目指す新しい学校」として6年制中学の設置を提言、同62年8月の最終答申でもこの方針を強く打ち出した。他の都道府県では私立学校の半数がすでに6年制をとっているが、この答申を受けて、公立の中高一貫校を創設する動きが起こった。山梨県内でも父母の間に「駿台甲府高校」の中学併設を望む声が高まっていた。

 こうした状況を受けて、駿台甲府高校の設置母体である「駿河台西学園」では、平成4年12月、県に駿台甲府中学校設置認可申請書を提出、翌年1月、正式に設置認可を受け、開校の運びとなったわけである。

 学園では直ちに生徒募集に入った。生徒は県内に居住し、保護者のもとから通学できるものに限ることにし、入試は推薦入試と選抜入試とした。

 平成5年4月5日、第1回入学式。新入生は男子80人であった。
 同年10月2日には、雨天体操場を全面改修して完成した新しい体育館に県内教育関係者を招き、開校記念式典を行った。
ゆとりの教育
 駿台甲府中学校はオール駿台の理念である「愛情教育」と「チャレンジング・スピリット」を建学の精神とし、中高一貫校の利点を最大限に生かして意欲的な教育実践に取り組んだ。

  生徒は全員が駿台甲府高校に進学する。開校当初は、クラス担任が中学1年から高校1年までの4年間持ち上がり、生徒が高校に進むと担任教師も高校に異動、継続的な学習指導、生活指導を行った。

 カリキュラム面では中、高での重複を省くなど合理化を行い、こうして生まれた時間を利用して、“ゆとり”の教育を実践する。
 その主なものを挙げると・・

[ゆとりの時間]
  土曜日の午前中は教科の時間をなくして“ゆとりの時間”とした。現在、1、2年生は24人単位で5つのグループに分かれ、それぞれ6種目(平成17年度は1年生は実験考古学、コンピューター、発展理科実験、もの造り、軽スポーツI、英会話I。2年生はガラスフュージング、手話・スクラブルゲーム、書道、囲碁・将棋、軽スポーツII、英会話II。)を循環する。3年生はディベートや芸術鑑賞、講演会などの学年活動を行う。
  各種目にはそれぞれ指導教師がつき、生徒全員が1年間に各種目をすべて体験する。
平成17年度より、土曜登校日をふやした。(土曜休業日は月一度)。年間12日は“ゆとり”、それ以外の土曜日は学校行事や学年単位での諸活動を行っている。

[課題研究]
 生徒一人ひとりが年間を通しての研究課題を設定、原則として月1回、木曜日の放課後をこの研究時間に充てるほか、生徒は自宅で、また長期休暇などを利用して研究を続け、研究ノートを作る。10月の元宵祭(学園祭)に中間発表、2月には発表会を開く。
 研究テーマはフィールドワーク、歴史、実験観察、社会事象などあらゆるジャンルにわたっており、生徒によっては3年間、1つのテーマを追及、卒業研究としてまとめている。学校では毎年、これらの研究のアブストラクトを刊行、生徒にとっても、また学校にとっても貴重な財産になっている。

[読書習慣の育成]
 毎週火曜日の午後に読書の時間を設けている。読書感想文を提出させ、感想文集を刊行する。また、現在では書評集を作成し、感想文とはスタンスの異なる読書指導も試みている。優れた作品は適宜『学年通信』に掲載する。夏休みには推薦図書を指定、その中から何冊か読んで感想文を書くよう指導。その他、各種作文コンクールに応募している。

[緑陰教室]
 夏休み期間中に1年生は駿台清里高原ロッジ、2年生は駿台軽井沢研修センターで2泊3日、3年生は駿台箱根セミナーハウスで3泊4日の合宿をして無言学習会、自然観察、登山、フィールドアスレチックなどを行い友情を培い、心身を錬磨し継続的学習習慣をはぐくんでいる。

[ボランティア]
 災害救援募金活動、古本回収、ベルマーク収集、地域清掃活動などを行う。
 このほか、音楽、芸術鑑賞、社会施設見学などを年間行事の中に組み込み、リベラルでのびのびした学校生活の創造を目指して、たゆまぬ挑戦を続けている。

[部活動]
 教科の時間以外に週3日は、心身の発達を促す全員必修の部活動(野球、サッカー、ハンドボール、バレーボール、バスケット、陸上、卓球、硬式テニス)を行っている。硬式テニス・卓球は県大会準優勝、サッカーも県新人戦で準優勝と成果をあげている。
男女共学
 駿台甲府中学校は男子校としてスタートしたが、それに接続する駿台甲府高校が、平成2年から女子生徒の受け入れを始めており、父母の間に中学でも女子を入れてほしいとの要望や問い合せが多いことから、平成8年3月、県に学則変更認可申請を行い、同年7月に認可を受け、平成9年度から女子を受け入れて男女共学校となった。
 同時に募集定員も3クラス105人に増員した。 また、平成18年4月より募集定員を4クラス120人に増員の認可を受けている。
駿台甲府小学校
 中学校の開設によって、中高一貫教育を実践しているのに続いて、平成14年には初等教育をも一貫教育に含めるべく、県下で初の私立小学校として、駿台甲府小学校を開校した。今井校舎を全面的に改装して、1年生のみを2クラス受け入れ、規定の授業以外に将棋や英会話などの実践によって思考力や表現力を養う学習時間を設けるようなユニークな教育も取り入れた。また、教育の根源に戻って、小学生の時代は年齢相応の子供としての知恵を身につけること、心身ともに健康に育つことを目指して、自然体験、実体験を重視している。例えば、「つくし村」という学校農園で、一年中、作物をつくることを体験させ、種まきから収穫まで、植物を大切にするような思いやりの心を育てている。

 また、学童保育「やまびこ学級」を併設して、午前7時から午後7時まで遊びと学習の場を提供している。幼児期・少年期前期では友達や仲間と楽しみや興味を共有する「集団遊び」によって、心身を健全に育てることが大切であり、やまびこ学級においては、宿題などの学習とともに、グループ活動によって、子供同士が体得によって、問題を解決していく意識を身につけている。無論、働く両親を応援するための施設でもある。